母が知らなかった成長

合唱を始めてから、ちょうど1年が経ちました。
最初は声を出すのも恥ずかしくて、人前に立つことさえためらいがちだった子ども。
その姿を見ながら「大丈夫かな」と心配しつつも、私はほとんど関わることができませんでした。

正直に言えば、母としてはノータッチに近い1年でした。
仕事や家のことに追われ、練習を見守ることも、励ましの言葉をかけることも、ほとんどできなかったのです。
他の保護者の方が熱心に協力している姿を横目に、「私は全然支えてあげられていない」と胸がチクリと痛むこともありました。

それでも、子どもは合唱を続けました。
誰かに強く背中を押されることもなく、自分の意思で練習に向かい、仲間と声を合わせ、少しずつ自分の殻を破っていったのです。
気づけば、あんなに恥ずかしがり屋だった子が、堂々と舞台に立ち、力強い声で歌えるようになっていました。

舞台で響くその歌声を聴いた瞬間、胸の奥がじんわりと熱くなりました。
「私が支えなくても、こんなに成長できるんだ」
その事実に驚き、そして心から誇らしく思いました。